ベルワルド(1796〜1868)

 一般の音楽史にはあまり出てこないが、ロマン派に詳しい人には、ベルワルドはかなり知られたスウェーデンの作曲家である。シューベルトとほぼ同時代のロマン派の作曲家である。シューベルトよりかなり長生きをしたせいか、交響曲では、シューベルトよりロマン性の濃い作品を残していると思う。交響曲を初めとして、多様なジャンルに作品を残しているが、生前は自国でほとんど評価されなかった。日本では、交響曲が知られていて、一定の評価を得ている。

ここでは、彼の傑作の交響曲第1番と、第3番を見ていこうと思う。

交響曲第1番ト短調 

 歌劇「ソリアのエストレッラ」完成の翌年1842年に書かれたもので、歌劇「ソリアのエストレッラ」の序曲とほぼ同じ曲が、第1楽章に採用されている。そのせいか、彼の交響曲の中では、最もロマン性が濃く、ドラマチックな雰囲気をもっている。1842年は、シューマンが交響曲第1番、ピアノ協奏曲を書いた翌年であり、国際的に前期ロマン派の頂点をなしている年である。ベルワルドの交響曲がロマン派的であるのは当然のことであると思う。

第1楽章 頬に風を受けるように「ロマン派の風」が吹いており、彼の交響曲の中で最も美しい楽章であると思う。この楽章は、歌劇「ソリアのエストレッラ」の序曲とほぼ同じ曲になっており、悲劇を想わせるような緊迫感と美しい第2主題とが交じりあった素晴らしい楽章であると思う。メンデルスゾーンの「スコットランド」の第1楽章と似ているかも知れない。

デンマークのクロンボー城



かってのデンマークは、ノルウェーやスウェーデンを併合していた大国であった。それだけに歴史的な古城や宮殿が多くあるが、わけても、ハムレットの舞台として世界的に有名なクロンボー城がある。この城に立つ時、あのシェイクスピアの名文「ヘルシンオアのデンマーク王宮のゴシックの城は、ほの暗い空に、黒く不吉な影を投げている・・・」という一節がふと思い出されて、深い感慨にふける人も多いことであろう。

この城のそのような印象が
歌劇「ソリアのエストレッラ」序曲♪♪の出だしの雰囲気にぴったりである。歌劇の内容はよく分からないが、ロマン派に多い悲劇であったのは、この音楽を聞けばよく分かる。

第2楽章 ゆったりとした曲であるが、文学性を秘めた予感のような雰囲気がある。たぶん歌劇の中で用いられた音楽ではないかと思う。多様に変化し、曲想の豊かな緩徐楽章である。

第3楽章 スケルツオのような舞曲である。悲劇的な情感が押し寄せているような曲である。

第4楽章 
アダージョで第4楽章につながっている。アレグロのたたみ掛けるような主題が現れる。また、ほっとしたようにアダージョになる。再びアレグロになり、だんだん激しくなり、重厚な悲劇的な主題が現れる。最後にまたアダージョになり、再びアレグロになり、遠くでラッパがなり曲を終わる。

交響曲第3番ハ長調

第1楽章♪♪ 
ベルワルドの音楽で一番知られた楽章である。不思議な和音の半音階的な上昇で始まる。悲劇的な雰囲気はなく、自然描写に近い風景である。繰り返し和音の半音階的な上昇が現れ、北欧の夏の太陽が昇っていくようなイメージを与える。間々に閑かで抒情的な主題が現れ、北欧の森と湖の自然の美しさを奏でている。

第2楽章 抒情的な息の長い第1主題が現れる。北欧の穏やかな夏の風景を見ているようである。突然ティンパニが鳴る。どうもこの音は稲妻らしい。雨模様になり曲想は幾らか忙しくなる。また再び閑かな曲想になり曲を静かに終わる。

第3楽章 アレグロで終楽章である。激しい嵐のような音楽で始まる。如何にもロマン派らしい音楽である。短い動機がベートーヴェン的に発展してゆく。しばらくして穏やかな曲想になる。またティンパニが二度なる。稲妻らしい。少し騒がしくなり、そのうちに、第2楽章の閑かな曲想が現れる。最後に嵐のような激しさで曲(長調)を終わる。



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