カリンニコフ(1866〜1900)

 カリンニコフは、日本の伝統的なテキストには載っていない作曲家である。ロシアでは市民権を得ている作曲家であるが、欧米で名が通ってないがゆえに、日本でも無名である。しかし、一部のロシア音楽のマニア、学生オーケストラなどでは、よく知られている人らしい。

チャイコフスキーより若く、ラフマニノフやストラヴィンスキーより年上になる。作風は、ラフマニノフやスラヴィンスキーに似て、ロシア臭さがほとんどない。印象としては、チャイコフスキーより遙かに現代的だが、ロマン派の特徴を備えており、ストラヴィンスキーやドビュッシーの若い頃の面影があると思う。

ロシアの貧しい家庭に生まれたが、信心深い家庭環境から、神学校で勉学する機会を与えられる。後にモスクワの音楽学校で学び、作品を意欲的に発表する。チャイコフスキーの推薦で、モスクワの劇場指揮者になる。しかし、病状が悪化して、クリミアのヤルタに移住して、1900年に34才で結核で亡くなった。始終モスクワのラフマニノフなどど連絡し合い、作曲は意欲的であった。作品は交響曲2、管弦楽曲11、交響的絵画、ピアノ曲、歌曲等が親しまれている。日本では、二つの交響曲が抜群に人気があるようだ。

交響曲

 チャイコフスキーの交響曲は、メロディーに民謡が反映していて、ロシアの自然を感じる部分が多いが、カリンニコフには、民謡への執着はほとんどないようだ。作風は都会的で垢抜けしている。自然より街の光景が浮かびそうな部分が多い。

若くして亡くなった作曲家の晩年の作品は、どことはなく哀しさのようなものがあるが、カリンニコフの二つの交響曲を聞く限り、そのような雰囲気はない。むしろ、軽快で快活である。病気を超越していたのだろうか。あまり、病気の影は見られない。

交響曲第1番

第1楽章
カリンニコフの交響曲の中では、唯一哀愁の感じられる楽章である。しかし、決して深くならず、明るい曲想に含まれていく。かすかなロマンチシズムが流れていて、ロマン派特有のドラマ性を含んでいると思う。モスクワの霧の夜の出来事のような。常にフルートやピッコロの音が明るい。ショパンのピアノ協奏曲第1番の第1楽章と雰囲気が似ていると思う。

第2楽章
ハープの音色が美しいロマンチックな楽章。中世ともアラビアともつかない湖で妖精がゆっくり踊っているような情景である。

第3楽章
カリンニコフの本来の快活さを取り戻す。陽気な街の様子が眺められるような風景である。

第4楽章
第1楽章の哀愁のメロディーで始まるが、陽気な楽想に飲み込まれてしまう。陽気な街の様子をだんだん高い処から眺めるように、高度が上がっていく。快晴の空が見え、下に陽気な街並が見える。終わりは、気球で飛んでいるような快活な気分になる。

交響曲第2番

第1楽章

第1番に比べると、ずっと明るい出だしである。軽快な主題が出て来て、曲の主流になる。メロディアスな主題も出てくるが深刻にはならない。陽気な街を眺めているような爽やかさがある。管楽器が明るく聞こえ、快晴の空をイメージする。

第2楽章
♪♪

                       イスラム風建築   マジョルカ島パルマ

                    

ハープの美しい出だしで始まるロマンチックな楽章である。中世かアラビアのお城が見えてきそうである。幻想的で濃厚な音楽になる。「ロマン派の風」が吹いているハープを伴った美しい音楽が現れる。地中海のマジョルカ島に残るアラビア風の建築は、第2楽章のロマンチックな雰囲気に似つかわしい。

連想になるが、マジョルカ島といえば、ショパンとジョルジュ・サンドが一夏過ごしたことで有名である。そのようなイメージは、なおのこと、この楽章のロマンチシズムを煽ることになる。ロシア・ロマン派の傑作の楽章だと思う。

第3楽章
陽気な街並みを連想するような音楽にもどる。少しずつ高度上げて、街並みは眼下に望まれる。

第4楽章
♪♪

                         We Love Kobe    Hiro Yamagata     

                                              

気球に乗って上空高く上がり、街並みを眺めているような軽快な楽章である。空は快晴であり、明るさがしみるような爽やかさがある。Hiro Yamagataの絵画は、都会の街並に気球が上がり、上空に陽気な街の人が飛んでいる空想的な絵画である。上空に舞い上がるカラフルな光景が、何とも陽気で快活である。幸福感が溢れている絵画だと思う。

この楽章の、街並みを眺めているような陽気さと軽快さは、Hiro Yamagataの絵画と共通していると思う。双方とも、街のにぎやかさに、幸福感が溢れていて快活そのものである。第4楽章のフィナーレで、上空に高く舞い上がるような勢いは、Hiro Yamagata のWe Love Kobeの上空に舞い上がるカラフルな光景と一致してしている。




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