マリアンナ・マルティネス(1744-1812)


スペイン系イタリア人の父親を持ち、貴族階級であったマリアンナ・マルチネスは、ウィーン出身であり、音楽的な才能を桂冠詩人である脚本家のメタスタジオに認められる。自分自身も美声の持ち主であり歌曲を巧みに歌い、カンタータやオペラの作曲を主に手がけている。

メタスタジオは、同じ共同住宅に住んでいた若きハイドンを、マリアンナ・マルチネスの歌の伴奏係として雇っていた。さらに、ハイドンからクラヴィアの弾き方を学ばせた。彼女は10歳になるとハイドンの伴奏の下、ボルポラから本格的な声楽を学んだ。少し後にハッセから作曲を学んだ。ハッセはドイツ人でナポリ派のアレッサンドロ・スカルラッティからオペラやカンタータを学んだ人であった。ハッセはメタスタジオの全ての脚本にオペラを書いたことを誇っていた。ハッセから学んだ作曲とはオペラやカンタータであったことはいうまでもない。

しかし、クラヴサン協奏曲やクラヴサン・ソナタもハイドンの影響で書いている。彼女は女帝マリア・テレジアにも幾度も御前演奏を依頼され、自分の作品の多くを初演したと考えられる。後年、彼女と姉妹との夜会には、サリエリとの競演で知られていたモーツアルトも頻繁に訪れ、彼女との四手連弾作も書いた。実を言えば、ウィーン古典派を語る時に、マリアンナ・マルチネスは不可欠な作曲家なのである。

カンタータ「初恋」♪♪

四楽章からなる短いカンタータであるが、マリアンナの声楽の才能をよく表した作品である。彼女自身がよく歌っていた歌かも知れない。ハッセ風の上品で優雅な作品である。メロディーも洗練されている。



クラヴサン協奏曲ホ長調♪♪

いかにもウィーン古典派らしい爽やかな曲であるが、曲想濃厚で愛の情念を感じさせる。ラ・フローディアナのオリジナル楽器の演奏も秀逸である。昔の現代楽器ではありえないようなふくよかな演奏である。



クラヴサン・ソナタ♪♪
このクラヴサン・ソナタは、クラヴサンの音色が神韻縹渺としていて、よく歌っている。優雅で甘美な色調がある。クープランのクラヴサン曲以来、このような音色は初めてである。やはり愛の情念を感じてしまう。



序曲ハ長調♪♪

ロココ調の序曲風の第一楽章、抒情的で濃厚な愛を感じさせる第二楽章、活気のある第三楽章。前古典派的な初期の作品であろう。




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